ロードバイクのインターバルトレーニングである「VO2max」「ソリア」について解説します。
ソリアは心拍管理時のトレーニング方法の一つで、強度的にはVO2maxとほぼ同じです。
名前が違いますが強度・トレーニング方法は同じような内容となりますので、本記事では一緒に扱います。
スイートスポットの強度より高いですが、時間あたりの効果が非常に高く、効率のいいトレーニングとなっています。
レース等の重要な局面で勝負したい方には必ず必要になるトレーニングです。
VO2max・ソリアの概要
「VO2max・ソリア」は「L5強度のインターバルトレーニング」です。
L5の強度ですが、「5分間で全力を出し切る」強度ですので非常にキツいです。
VO2maxとは体内に取り込める「最大酸素摂取量」のことで、高いほど心肺能力が高いということを表しています。
車のエンジンの排気量のようなイメージです。
660ccの軽自動車より4000ccのスポーツカーの方が速く走れますよね。
VO2max(最大酸素摂取量)の詳細については「e-ヘルスネット(厚生労働省)」で確認して下さい。
体力の構成要素のうち全身持久力の指標です。
運動中に体内(ミトコンドリア)に取込まれる酸素の最大量を示し、有酸素性能力や有酸素性パワーとも呼ばれています。
出典:最大酸素摂取量 / VO2max「e-ヘルスネット(厚生労働省」
L5強度は下記図オレンジ色の部分になりますが、「体への負担」が高いことが分かりますね。
負担が高い割に「トレーニング効果」が下がっているグラフに見えますが、L5強度のトレーニングでしか鍛えられない項目があります。
さらにL5強度のトレーニングはパワー向上が頭打ちした時に、天井を突き破る効果もあります。
維持することが難しく、強度の高い領域です
それでは「キツいインターバルトレーニング」について解説していきます!
トレーニング効果
トレーニング効果ですが、箇条書きでまとめます。
・Vo2max(最大酸素摂取量が)の向上⇒心肺能力が上がる
・脚力が強化され、出せるパワーが上がる
・毛細血管が増える
・FTPが向上
・無酸素運動の高強度も向上
「パワー・トレーニング・バイブル」という書籍でパワーゾーンごとの効果がまとめられていますので、参考にして下さい。
「VO2max・ソリア」はゾーン5の強度となります。
+マークが多いので、多くの項目で効果的なトレーニングという事が分かりますね♪
SST(ゾーン3・4)とは効率よく鍛えられる項目が違うことに注目してください。
⇒血漿量・遅筋・毛細血管の増加、心肺能力・VO2max・乳酸耐性の強化
トレーニング方法
実走の場合、信号のあるコースでは練習できません。
また強度が高くスピードが出る為、平坦は向いていません。
短かい距離でも大丈夫ですので緩い登りが良いでしょう。
しかし、周りが見えづらくなる強度まで追い込むことになるので、固定ローラーでおこなうことが一番安全です。
トレーニング強度について
「VO2max・ソリア」は「SST・メディオ」よりキツい強度です。
強度がキツ過ぎると感じた方は「SST・メディオ」を実施しましょう。
肉体的に毎日は無理な強度ですので、毎日出来るという方はゾーン5の強度まで追い込めていないか、FTPが向上している可能性が高いです。
「強くなる!」という気持ちがないと完遂できないトレーニングです。
「VO2max・ソリア」は基本的に心拍計やパワーメータを確認しながらおこなうトレーニングになります。
追い込み過ぎると「無酸素領域」の強度になり、緩すぎると「SST・メディオ」の強度になってしまいますので、感覚だけで調整することが難しいです。
「VO2max・ソリア」に取り組みたいと考えている方は心拍計・パワーメータの導入を検討して下さい。
おすすめのパワーメーター・心拍計については次の記事を参考にしてください。
・心拍計、パワーメーターを持っていない方の感覚的な強度の目安
感覚だよりになるのでおすすめではありませんが
「呼吸が相当キツく、ほぼ全力」の強度です。
「ゼェ!ハァ!」言いながら、心臓・コメカミの脈がドクドク伝わってくる感じです。
・心拍計を持っている方
カルボーネン法で計算してみましょう。
カルボーネン法は「(220-年齢-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数」で求めることができます。
詳細については「健康長寿ネット」さんのサイトを参照して下さい。
運動時、心拍数は酸素摂取量とほぼ比例して直線的に増加することから、心拍数を用いて運動強度を表すことができます。 年齢や安静時心拍数から運動強度を算出する「カルボーネン法」が使われます。 カルボーネン法は(220-年齢)-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数で求めることができます。
出典:健康長寿ネット-運動強度とは
「VO2max・ソリア」の心拍数の目安運動強度は90%です。
例:30歳で安静時心拍数が60bpmの場合
(220-30-60)×90(%)+60=177bpm となります。
「じてトレ」さんの「おたすけ計算機」を使えば一瞬で計算できます。
リンク貼っておきます。
http://og3s.web.fc2.com/001.html
・パワーメーターを持っている方
自分のFTPがわかっていることが前提となります。
FTPを計測していない方はまずはFTP計測から始めて下さい。
計測方法については次の記事を参考にして下さい。
「VO2max・ソリア」のパワーの目安強度は105%~120%です。
例:FTP 250w
計算式:250×1.05~1.2=260w~300wとなります。
こちらも「じてトレ」さんのパワー・トレーニング・ゾーン計算ツール【PTB】を使えば、面倒な計算をしなくてもFTP値を入力すると一瞬で計算できるので非常に便利です。
リンク貼っておきます。
https://www.jitetore.jp/contents/fast/list/201302041332.html
トレーニング時間・頻度
「VO2max・ソリア」はインターバルトレーニングとなります。
有名な方法が2種類ありますので、おすすめ順で紹介しますね。
【30秒ハード+30秒イージー】12~20セット
①ウォーミングアップ10分
②L5強度_30秒
③L1強度_30秒
④上記②③を12~20セット繰り返し
⑤クールダウン10分
メインセット②は必ずL5強度まで上げてください。
目的はL5の向上ですので、L5の強度を刺激しないと効果が弱くなります。
かなりキツいですが、負荷の調整は強度では行わずセット数で行いましょう!
※L5強度範囲での調整はOKです(105%~120%)
【3分ハード+3分イージー】3セット
①ウォーミングアップ10分
②L5強度_3分
③L1強度_3分
④上記②③を3セット繰り返し
⑤クールダウン10分
②は必ずL5強度まで上げてください。
【30秒ハード+30秒イージー】よりL5の継続時間が長いのでメチャクチャキツいです。
そのぶんトレーニング効果はこちらのほうが高いです。
ウォーミングアップとクールダウンは必ず行いましょう!
ウォーミングアップをしなかった場合、足を痛めるリスクが高ます。
クールダウンは翌日に疲労を持ち越しにくくなります。
「VO2max・ソリア」をおこなう頻度ですが週1回~2回を目標にして下さい。
「パワー・トレーニング・バイブル」の著者はVO2maxトレーニングについて下記引用のように述べています。レースで勝利したい方には必ず必要になるトレーニングです。
レースではVO2maxレベルのパワーが重要になるので、レースに出場するのであれば、このレベルをしっかりトレーニングする必要があります。事実、ハンターがコーチしている選手たちがレースで優勝した時のパワー・データから、レースでのVO2maxの大切さが浮き彫りになりました。
出典:パワー・トレーニング・バイブル [ハンター・アレン、アンドリュー・コーガン共著]
VO2max・ソリアをおススメする方
VO2max・ソリアは具体的に次のような方におススメです。
・テンポ走やSST強度でベースが出来ている
・毎日1時間程度のトレーニング時間が確保できる
・ロードレース、クリテリウム、ヒルクライムレースで表彰台や入賞を目指している
・1ヶ月程度の短期間でレベルアップを実感したい
・斜度のキツい登りを含むロングライドにチャレンジしたい
・実業団クラスのガチ勢と切磋琢磨してレベルアップしたい
VO2max・ソリアのデメリット
デメリットも少しありますので説明します。
・かなりキツいので強靭なメンタルが必要
・実走でのトレーニングが不向き ※安全が確保できる固定ローラー推奨
・ベースが出来ていない方はトレーニング効果が薄い
メリットのほうが多いので、やる気のある方は十分におこなう価値のあるトレーニングです。
キツいと感じた方は少し強度の低い「SST」「メディオ」で慣れましょう。
また、「Rattlesnake」というVO2max強化トレーニングが継続しやすくて人気なので参考にして下さい。
VO2max・ソリアまとめ
VO2max・ソリアは強度がキツいぶん、見返りも大きく、比較的短期間で走力と持久力が向上可能なトレーニングです。
レースで重要になるトレーニングですが、個人的には週末のロングライドやグループライドでも効果的なトレーニングだと感じています。
例えば、ロングライド(100km以上)を考えた場合、どうしても山越えが必要になるルートになってしまいますよね。
斜度のキツい場面ではVO2max強度で乗り切ることが多いので、ロングライドも楽しく走れるようになります。
山越え1本でヘトヘトになり「もう帰りたい」ということがなくなります(笑)
ゆるポタメンバーと走るときは風の抵抗が大きい先頭で走ってもヘバリにくいですし、速いメンバーと走ってもついて行けるようになります。
あらゆる場面で余裕が生まれるようになるので、一緒に走るメンバー・距離・コースに選択肢が増えて、より楽しく走れるようになりますよ。
アタック力で鍛えたい、レースで主導権を握りたい方は「L6_無酸素運動トレーニング」にチャレンジしましょう!
他のトレーニングについて知りたい方は「トレーニングまとめ記事」を参考にして下さい。
今回はVO2max・ソリアについて解説しました。
本記事が参考になれば幸いです。
強度的には非常にキツいので、心してチャレンジしましょう!