ロードバイクのレースで勝負の要となる「スプリント」を強化するトレーニングの解説をおこないます。
「スプリント」とはゴール手前でおこなわれる30秒未満の全力疾走のことです。
レースでは集団を抜けて、単独でゴールするには心理戦や個人の高い能力が必要になるので、ほとんどの場合、集団でゴール手前まで走ることになると思います。
集団の中から最後に抜け出して勝利するには高いスプリント力が必要になります。
レースで優勝する為には必須のトレーニングですね。
L7_神経筋パワー向上トレーニングの概要
L7_神経筋ですが、速筋を使う無酸素運動となり、筋肉内に貯蔵されているクレアチンリン酸と呼ばれる物質を分解してエネルギーを生み出す強度となっています。
L6の強度はグリコーゲン(糖)を分解する解糖系であるため、エネルギー供給の過程が違いますね。
クレアチンリン酸の詳細については「e-ヘルスネット(厚生労働省)」で確認して下さい。
アミノ酸の一種であるクレアチンがリン酸化されたもので、肝臓で合成され血液によって筋肉に運ばれます。クレアチンとリン酸に分解するときにエネルギーを発生します。
筋収縮の直接のエネルギー源はアデノシン三リン酸(ATP)であり、ATPが分解されてアデノシン二リン酸(ADP)になるときに放出されるエネルギーが使われますが、ATPは筋繊維の中にわずかしかないため、激しい運動ではすぐに尽きてしまいます。そこでクレアチンリン酸がすみやかに分解してADPにリン酸基を引き渡し、急速にATPが再合成されます。
出典:クレアチンリン酸 / CrP「e-ヘルスネット(厚生労働省」
トレーニング効果
トレーニング効果ですが、箇条書きでまとめます。
「パワー・トレーニング・バイブル」という書籍でパワーゾーンごとの効果がまとめられていますので、参考にして下さい。
勝つためのスプリント力を鍛える特化型のトレーニングですね。
トレーニング方法
短い距離でおこなう為、実走でのトレーニングが可能です。
踏むパワーを上げるだけなく、ダンシング状態で高ケイデンスを維持する必要があります。
体幹で必要な体勢を維持、腕でハンドルを体に引きつける等、スプリント向上には技術的な要素も多い為、むしろ実走での練習をおススメします。
交通量が少なく見通しのいい直線で、脇道の無い場所でおこなって下さい。
速度が少し落ちる短い登りでも練習可能ですので、安全な場所を探しましょう!
トレーニング強度について
疲労が抜けている状態でおこなって下さい。
強度的にはシンプルに全開!フルパワー!です(笑)
全力疾走の為、サイコンを見る余裕がないので心拍計・パワーメーターは不要です。
ただし、パワーメーターがあればトレーニング後にMAXパワーの確認ができます。
パワーの出し方のコツやスプリント力が向上していることが確認できるので導入をおススメします。
トレーニング時間・頻度
「L7_神経筋」のトレーニングはインターバルトレーニングとなります。
おすすめの方法を2つ紹介しますね。
【15秒ハード+15秒イージー】10分維持
①ウォーミングアップ15分
②全力15秒
③休み15秒
④上記②③を10分間繰り返し
⑤クールダウン15分
【30秒ハード+1分イージー】15セット
①ウォーミングアップ15分
②全力30秒
③休み1分
④上記②③を15セット繰り返し
⑤クールダウン15分
ウォーミングアップとクールダウンは必ず行いましょう!
ウォーミングアップをしなかった場合、足を痛めるリスクが高ます。
クールダウンは翌日に疲労を持ち越しにくくなります。
スプリント力を向上したい方は体の状態と相談しながら、無理のない頻度でおこないましょう!
「パワー・トレーニング・バイブル」の著者はL7の強度について下記引用のように述べています。
実施する頻度について参考にして下さい。
スプリントの練習はすべて、神経筋パワーのトレーニングです。このトレーニングは、強度がひじょうに高く、体にエネルギーが十分に蓄えられた状態で行わなければ効果が低いので、もっとも元気な状態で行いましょう。
出典:パワー・トレーニング・バイブル [ハンター・アレン、アンドリュー・コーガン共著]
L7_神経筋トレーニングをおススメする方
次のような方におススメです。
・レースで優勝を目指している
・ゴールスプリント力を強化したい
・アップダウンの多いコースで高タイムを出したい
レースで優勝を狙っている方は必須のトレーニングです。
L7_神経筋トレーニングまとめ
スプリント力は才能の部分も大きいですが、プロクラスのスプリント力を目指さなければ十分トレーニングで通用するレベルまで到達できると考えています。
スプリント力の才能の持ち主は競輪やトラック競技に向かうことが多いはずですので、アマチュアのレースでは、全国区の有名な大会以外では勝負できると思います。
カレブ・ユアンという小柄ですが世界の舞台でスプリントを武器に活躍している選手がいます。
体格やフィジカル面で自分には才能がないからと初めから諦めず、スプリント強化のトレーニングにチャレンジしてみてはどうでしょうか?
21歳という若さでありながら、グランツール初勝利を挙げた期待の新星。登りスプリントでデゲンコルブとペーター・サガンを引き離したことがあるほどの実力を持つ。
165cmの小柄な体躯から繰り出される異様に低いライディングフォームはマーク・カベンディッシュを彷彿させ、そのスプリント姿から「ポケットロケット」とも呼ばれている。
出典:カレブ・ユアン_フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
また、ストラバ等のアプリでタイムを競っている方もいるでしょう。
タイム計測区間にはヒルクライム区間だけではなく、スプリント区間もありますのでスプリント力を強化してKOM狩りにチャレンジするのも楽しいですよ!
今回はL7_神経筋トレーニングについて解説しました。
他のトレーニングについて知りたい方は「トレーニングまとめ記事」を確認して下さい。
参考になれば幸いです。ありがとうございました。
・スプリント力向上
・筋肉内に貯蔵できるクレアチンリン酸の増加
・神経筋パワーの増加
・速筋の強化