ロードバイクのレース等で必要になる「アタック」を強化するトレーニングの解説をおこないます。
「アタック」とは集団の人数を減らす場合や、ライバルをふるい落とす場合に高強度(L6)のパワーで速度を上げる動作となります。
具体的には、自分よりスプリント力が高いライバルを登りなどでアタックを仕掛けて置き去りにする場合や、クリテリウムのコーナーの立ち上がりで後続を引き離す際におこないます。
L6_無酸素運動の強度は非常にキツいですが、レースで上位を狙う場合は必須のトレーニングになります。
L6_無酸素運動トレーニングの概要
無酸素運動容量ですが、筋肉に蓄えられているグリコーゲン(糖)を分解し酸素を使用せずにエネルギーを生み出す領域となります。
酸素を使用したのでは間に合わない高強度の為、無酸素運動と呼ばれています。
グリコーゲンを分解する際に乳酸が生まれ、疲労物質の蓄積で足がパンパンになり、さらにグリコーゲンの枯渇によって高強度の運動を行えなくなります。
⇒いわゆる「足が終わった、売り切れた」状態です
その為、L6の強度の運動は長時間続けることができません。
グリコーゲンの詳細については「e-ヘルスネット(厚生労働省)」で確認して下さい。
筋肉に蓄えられる糖の一種で、筋肉の収縮のためのエネルギー源となる。
筋肉に蓄えられるグリコーゲンを筋グリコーゲンといいます。体内のグリコーゲンの8割強が筋グリコーゲンとして蓄えられており、運動においてとても重要な役割を果たしています。
出典:筋グリコーゲン「e-ヘルスネット(厚生労働省」
L6強度は下記図赤色の部分になりますが、「体への負担」が非常に高いです。
しかし、L5以下の強度ではアタック力をほとんど鍛えることが出来ないため、L6以上でのトレーニングが必要になります。
トレーニング効果
トレーニング効果ですが、箇条書きでまとめます。
・無酸素運動容量の大幅なUP
・アタック力の向上
・乳酸耐性の向上⇒疲労物質が蓄積されにくくなる
・速筋の強化
・勾配がキツい坂への対応能力向上
・加速力UP
「パワー・トレーニング・バイブル」という書籍でパワーゾーンごとの効果がまとめられていますので、参考にして下さい。
L3~L5のようにまんべんなく効果があるとは言えませんが、筋肉中に貯蔵できるグリコーゲンの増大や、乳酸耐性について効果的なトレーニングとなっています。
トレーニング方法
高強度まで追い込む必要があるので、実走では危険です。
※L6強度まで追い込めなければアタック力強化にはつながりません
ローラー環境を整えてチャレンジしましょう!
トレーニング強度について
疲労が溜まっている状態では追い込むことが難しいので、元気な状態でおこないましょう!
「L6」を鍛えるトレーニングはパワーメーターを確認しながらおこなうことになります。
おススメのパワーメーターは次の記事を参考にして下さい。
強度を決めるには自分のFTPがわかっていることが前提となります。
FTPを計測していない方はまずはFTP計測から始めて下さい。
FTPの計測方法は次の記事を参考にして下さい。
「L6」のパワーの目安強度は120%~150%です。
例:FTP 250w
計算式:250×1.2~1.5=300w~375wとなります。
「じてトレ」さんのパワー・トレーニング・ゾーン計算ツール【PTB】を使えば、面倒な計算をしなくてもFTP値を入力すると一瞬で計算できるので非常に便利です。
リンク貼っておきます。
https://www.jitetore.jp/contents/fast/list/201302041332.html
トレーニング時間・頻度
「L6_無酸素運動容量」のトレーニングはインターバルトレーニングとなります。
おすすめの方法を2つ紹介しますね。
【1分ハード+2分イージー】10セット
①ウォーミングアップ15分
②FTP×120%_1分
③FTP×50%_2分
④上記②③を10セット繰り返し(最低8セット)
⑤クールダウン15分
【20秒ハード+1分イージー】10セット
①ウォーミングアップ15分
②FTP×150%_20秒
③FTP×75%_1分
④上記②③を10セット繰り返し(最低8セット)
⑤クールダウン15分
メインセット②は必ず目標値まで上げてください。
目的はL6の向上ですので、L6の強度を刺激しないとL6の強化につながりません。
ウォーミングアップとクールダウンは必ず行いましょう!
ウォーミングアップをしなかった場合、足を痛めるリスクが高ます。
クールダウンは翌日に疲労を持ち越しにくくなります。
おこなう頻度ですが週1回を目標にして下さい。
「パワー・トレーニング・バイブル」の著者はL6の強度について下記引用のように述べています。
キツいですが、鍛えることによってレースで勝てる確率が上がるでしょう。
無酸素運動容量(AC)のインターバルは、2分以下と短時間ですが、ひじょうに強度が高くきついメニューです。この練習は、パワー・メーターを使わなければ、正確に実施するのは難しいでしょう。この運動強度は、有酸素運動パワーよりも遥かに高いレベルです。
出典:パワー・トレーニング・バイブル [ハンター・アレン、アンドリュー・コーガン共著]
L6トレーニングをおススメする方
次のような方におススメです。
・レースで表彰台や入賞を目指している
・アタック力を強化したい(アタックがあまり成功しない方)
・斜度のキツい登りを軽々とクリアしたい
・レースでの展開に関わりたい
L6トレーニングのデメリット
デメリットも少しありますので説明します。
・非常にキツいので強靭なメンタルが必要⇒陸上競技で1,2位を争うキツさの400m走に相当
・実走は危険すぎるので固定ローラーが必要
・パワーメーターが必要
レースで表彰台を狙っている方や、展開に積極的に関わりたい方には必須のトレーニングです。
キツ過ぎると感じた方は少し強度の低い「Vo2max」「ソリア」のインターバルトレーニングで鍛えましょう。
L6_無酸素運動トレーニングまとめ
L6の強度は非常にキツいですが、レースで勝ちを狙う方には必ず必要になるトレーニングです。
L6を鍛えることによって、レースに限らずガチ勢のメンバーとも楽しくトレーニングを行えるようになるでしょう。
グループライドでのアタックの仕掛け合いは楽しいですよ!
引き離すことができると「ヨッシャー!」となり、かなり興奮します(笑)
※アタック合戦は必ず交通量の少ない見通しのいい直線で、後続車が来ていないか確認して楽しみましょう
レースで優勝を狙いたい方はゴールスプリントを強化できる「L7_神経筋トレーニング」を参考にして下さい。
他のトレーニングについて知りたい方は「トレーニングまとめ記事」を参考にして下さい。
今回はL6_無酸素運動トレーニングについて解説しました。
L6を鍛えてレースで勝利しましょう!
1分程度しか維持できない非常にキツイ強度です