ロードバイクのトレーニング方法の一つであるLSD(Long Slow Distance:ロング・スロー・ディスタンス)について解説します。
ロードバイクに乗り始めた初心者の方にはもちろん、伸び悩んでいる中級者、上級者にもおすすめのトレーニング方法です。
LSD(Long Slow Distance)の概要
Long Slow Distance の 頭文字で作ったLSDトレーニングとは文字通り「長い距離」を「ゆっくり」走るトレーニングになります。
トレーニング効果
・持久力向上
・足や体幹などの筋力強化
・心肺機能の向上
高強度のトレーニングをするための土台作りとなるトレーニングです。
基礎体力の低い状態で高強度のインターバルトレーニングばかり実施しても効果が小さく、体が負荷に耐える事が難しい為、疲労により高強度を継続できません。
高強度を維持できず、さらにトレーニング後に何日も休んでしまっては意味がないですよね。
まずはLSDトレーニングをおこなって基礎体力向上に努めましょう。
トレーニング方法
なるべく一定のペースで走り、「距離」ではなく「時間」を目標にして走ってください。
強度の上げ下げをしない事が重要になります。
それではトレーニングの強度や行う時間について解説します。
トレーニング強度について
LSDトレーニングは楽な強度でおこなうことが重要になります。
強度をあげるとLSDで得られるトレーニングメリットが減少します。
心拍計やパワーメータがあれば客観的に自分のレベルに応じた強度に調整できます。
非常に便利なアイテムですので、本気でトレーニングに取り組みたいと考えている方はぜひ導入を検討して下さい。
おすすめのパワーメーター・心拍計については次の記事を参考にしてください。
・心拍計、パワーメーターを持っていない方の感覚的な強度の目安
「笑顔で会話が出来る強度」で歌は歌えない強度です。
鼻呼吸がギリギリ出来ない感じです。
・心拍計を持っている方
カルボーネン法で計算してみましょう。
カルボーネン法は「(220-年齢-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数」で求めることができます。
詳細については「健康長寿ネット」さんのサイトを参照して下さい。
運動時、心拍数は酸素摂取量とほぼ比例して直線的に増加することから、心拍数を用いて運動強度を表すことができます。 年齢や安静時心拍数から運動強度を算出する「カルボーネン法」が使われます。 カルボーネン法は(220-年齢)-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数で求めることができます。
出典:健康長寿ネット-運動強度とは
LSDトレーニングの目安心拍数は60%です。
例:30歳で安静時心拍数が60bpmの場合
計算式:(220-30-60)×60(%)+60=138bpm となります。
「じてトレ」さんの「おたすけ計算機」を使えば一瞬で計算できるので非常に便利です。
リンク貼っておきます。
http://og3s.web.fc2.com/001.html
・パワーメーターを持っている方
自分のFTPがわかっていることが前提となります。
FTPを計測していない方はまずはFTP計測から始めて下さい。
計測方法については次の記事を参考にして下さい。
LSDのパワーの目安強度は60%です。
パワーゾーン2の強度ですね。
FTP×0.6±10
例:FTP 250w
計算式:250×0.6=150±10
こちらも「じてトレ」さんのパワー・トレーニング・ゾーン計算ツール【PTB】を使えば、面倒な計算をしなくてもFTP値を入力すると一瞬で計算できるので非常に便利です。
リンク貼っておきます。
https://www.jitetore.jp/contents/fast/list/201302041332.html
トレーニング時間・頻度
LSDトレーニングは最低1時間、できれば2~3時間おこないましょう。
開始10分間はウォーミングアップとし、終了前には同じく10分間クールダウンして下さい。
おこなう頻度ですがLSDトレーニングは強度が低い為、時間がどうしてもある程度必要になってしまいます。
平日はまとまったトレーニング時間を確保することは難しいと思いますので、週末におこないましょう。
週1回の頻度で月に3回程度は実施できれば3カ月程度で以前より明らかに走れるようになったと実感できるはずです。
トレーニング効果詳細
さまざまなメリットがあるので詳細について説明します。
細胞内のミトコンドリアが増加
ミトコンドリアとは体内の細胞内に存在している小器官でエネルギーを生み出す発電所のような存在です。
発電所が増えると生み出す電力も増えますよね♪
運動時に必要なエネルギーを生み出す能力が向上するので、強度の強い運動を行えるようになります。
スマホ等を充電するのに使用している普通の100Vコンセントよりも、エアコンを稼働させる200Vコンセントのほうが大きい仕事ができますよね。
毛細血管が増加
体中のミトコンドリアへ酸素を効率良く供給できるようになります。
また、ミトコンドリアがエネルギーを生んだ際に発生する二酸化炭素の排出も効率よくなります。
酸素と二酸化炭素の交換効率が上がるので最大酸素量摂取量(Vo2max)が向上します。
筋力が強化される
脚力はもちろん、ロードバイクを乗る姿勢を長時間維持することになるので自然と体幹の筋肉が強化されます。
脚力が向上するのであたりまえですが、スピードがあがります。
体幹も鍛えられる為、ライド時のフォームが安定しふらつき等の無駄な動作が減少します。
その結果、同じ出力で漕いでもロスが少なくなるのでスピードが出るようになります。
ライド時の姿勢を低く保てるようになれば空気抵抗も減少するのでスピードが上がります。
脂肪が燃焼しやすい体になる
低強度の運動を長時間おこなうことで脂肪を燃焼しやすい体になり、長距離でもスタミナ切れしにくい体質になります。
いわゆる「遅筋」と呼ばれる赤い筋肉が増加するので脂肪の燃焼が効率良くおこなえるようになります。
高負荷の運動は糖質を多く消費する為、低強度の運動が脂肪燃焼には向いています。
遅筋の多い代表的な生き物は死ぬまで泳ぎ続けると言われるマグロ!
ペダリングのスキルUP
1回当たりのライド時間が長時間になるのでペダリングスキルが上がります。
過去に部活等で運動していた方なら経験があると思いますが、長時間同じ練習をしているとあるタイミングで頭ではなく体が動きを覚えて、動作が非常にスムーズになったことはありませんか?
ロードバイクも長時間ペダルを回していると、ある時ふと「こんな感じで回せば効率がいいんだ」と体が覚えるタイミングがあります。
もちろん1回で正解にたどり着けるわけはないので日々のライドで気づく部分が少しずつ増え、徐々にレベルが上がっていきます。
速い人のライドを見ていると姿勢が安定していてペダルも非常にスムーズに回せています。
ロードバイクに乗るモチベーションを保ちやすい
LSDトレーニングはトレーニング強度で言えばかなり軽い部類になります。
ロードバイクに乗るまでの心理的負担が少ないので継続しやすい利点があります。
強度の高いトレーニングもメリットはあるのですが、やはり高強度トレーニングは心が折れやすいのでメンタルの強い人でないと継続しにくいです。
LSDトレーニングはロードバイクに乗ることへの習慣化に非常に適していると思います。
LSDトレーニングのデメリット
デメリットもありますので説明します。
・1回当たりの練習時間が長い為、時間が取れない方はそもそも実施できない
・上級者レベルの方には練習効率が悪い(効果が小さい)
・慣れてくると追い込んだ感がないので練習内容に満足しづらくなる
LSDトレーニングまとめ
LSDトレーニングは速く走れるようになるだけでなく、非常に多くのメリットがあります。
デメリットもありますが、初心者の方には特におすすめのトレーニング方法です。
まずはLSDトレーニングで基礎体力を底上げし、インターバルトレーニング等の高強度トレーニングの為のベースを作りましょう。
心理的負担が少ないのでトレーニングを習慣化するにもいいトレーニングだと思います。
LSDトレーニングに慣れてきた方はテンポ走にチャレンジしてみましょう!
また、LSDを究極的に極めたい方はマフェトン理論をおススメします。
今回はLSDトレーニングについて解説しました。
他のトレーニングについて知りたい方は「トレーニングまとめ記事」を参考にして下さい。
本記事が参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
Long Slow Distance
⇒「長い距離をゆっくり」という意味です