ロードバイクトレーニング「SST」「メディオ」について解説

ロードバイクのトレーニング方法の一つであるSST・メディオについて解説します。

テンポ走より強度が高いのですが、キツいぶんパワーと持久力が大きく向上します。

レース等で結果を残したい方には必ず必要になるトレーニングです。

週末にグループライドやロングライドを楽しんでいる方にも走りに余裕が生まれ、さらに楽しむ事が出来るようになりますよ。

ゴブリン

強度的には結構キツいので、ある程度の持久力・回復力・メンタルがないと完遂するのが難しいです

SST・メディオの概要

SSTとは「スイート・スポット・トレーニング」の略です。

スイートスポットの意味 ⇒「ゴルフのクラブやテニスのラケットなどで、ボール等を打つのに最適の個所。 最適打球点」

良く跳ね返る場所、つまり一番おいしいところです

下記図は「運動強度(パワーゾーン)」「トレーニング効果」「強度を維持できる時間」を表しています。

スイートスポットは赤丸で囲んだ部分になりますが、「体への負担」が低い割に「トレーニング効果」が高いことが分かりますね。

出典:パワー・トレーニング・バイブル [ハンター・アレン、アンドリュー・コーガン共著]

ゴブリン

トレーニングとして「効率がいい強度」ということですね

メディオは心拍管理時のトレーニング方法の一つで、強度的にはほぼSSTと同じです。

名前が違いますが強度・トレーニング方法は同じような内容となりますので、本記事では一緒に扱います。

それでは「甘くて!?おいしいトレーニング」について解説していきます!

トレーニング効果

基本的にはテンポ走で得られる効果と同じですが、各効果がテンポ走より大きいです。

心肺機能の向上がテンポ走より大きいトレーニングで、FTP(1時間出せる全力パワー)や持久力の向上に効果バツグンです!

・きつい強度でも維持できる時間が長くなる

・足や体幹などの筋力が強化され、巡航スピードが上がる

・レースだと集団についていけるようになる

・自分より速い人達と一緒にグループライドを楽しめれるようになる

・VO2Max(最大酸素摂取量)の向上

「パワー・トレーニング・バイブル」という書籍でパワーゾーンごとの効果がまとめられていますので、参考にして下さい。

SSTはゾーン3と4の間の強度となります。

+マークが多いので、多くの項目で効果的なトレーニングという事が分かりますね♪

RPGゲームで例えると、攻撃力・体力・素早さ等のパラメータがまんべんなく上がるイメージです。

出典:パワー・トレーニング・バイブル [ハンター・アレン、アンドリュー・コーガン共著]

トレーニング方法

実走の場合、信号のあるコースでは練習できません。

また強度が高くスピードが出る為、平坦は向いていません。

具体的には1時間程度かかる登りが良いでしょう。

近所に1時間もかかる長い登りが無いという方は、20~30分程度の登りでもトレーニング出来ます。

ベストはローラーですが、ローラーの導入が難しい方は実走で出来そうなコースを探しましょう!

トレーニング強度について

SST、メディオはテンポ走よりキツい強度です。

トレーニングをやりきるにはテンポ走である程度ベースを作っていないと難しい為、トレーニング不足だと感じる方はまずテンポ走を実施しましょう。

僕の場合ですが、ある程度元気な状態でないと完遂出来ません。

かなりトレーニングを積み上げた方でないと毎日は無理な強度です。

毎日出来るという方はFTPが向上している可能性が高いので、FTPテストを実施してさらにレベルアップを目指しましょう!

ゴブリン

「完遂してやる!」というメンタルの部分も必要になります

SSTやメディオは基本的に心拍計やパワーメータを確認しながらおこなうトレーニングになります。

自分の感覚だけでは強度の調整が難しいので、SSTやメディオに取り組みたいと考えている方はぜひ導入を検討して下さい。

おすすめのパワーメーター・心拍計については次の記事を参考にしてください。

・心拍計、パワーメーターを持っていない方の感覚的な強度の目安

感覚だよりになるのであまりおすすめではありませんが

「かなりキツく、会話が出来ない強度」です。

全力の7、8割ぐらいのイメージなので維持するのがキツく、足を止めて休憩したいと思う強度です。

・心拍計を持っている方

カルボーネン法で計算してみましょう。

カルボーネン法は「(220-年齢-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数」で求めることができます。

詳細については「健康長寿ネット」さんのサイトを参照して下さい。

運動時、心拍数は酸素摂取量とほぼ比例して直線的に増加することから、心拍数を用いて運動強度を表すことができます。 年齢や安静時心拍数から運動強度を算出する「カルボーネン法」が使われます。 カルボーネン法は(220-年齢)-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数で求めることができます。

出典:健康長寿ネット-運動強度とは

SST、メディオの心拍数の目安運動強度は80~85%です。

例:30歳で安静時心拍数が60bpmの場合

(220-30-60)×85(%)+60=170bpm となります。

「じてトレ」さんの「おたすけ計算機」を使えば一瞬で計算できるので非常に便利です。

リンク貼っておきます。

http://og3s.web.fc2.com/001.html

・パワーメーターを持っている方

自分のFTPがわかっていることが前提となります。

FTPを計測していない方はまずはFTP計測から始めて下さい。

計測方法については次の記事を参考にして下さい。

SST、メディオのパワーの目安強度は88%~94%です。

パワーゾーン3強~4中の強度ですね。

例:FTP 250w

計算式:250×0.88~0.94=220w~235wとなります。

こちらも「じてトレ」さんのパワー・トレーニング・ゾーン計算ツール【PTB】を使えば、面倒な計算をしなくてもFTP値を入力すると一瞬で計算できるので非常に便利です。

リンク貼っておきます。

https://www.jitetore.jp/contents/fast/list/201302041332.html

トレーニング時間・頻度

SST、メディオは約1時間のインターバルトレーニングとなります。

①ウォーミングアップ10分

②SST、メディオの強度20分

③レスト5分

④SST、メディオの強度20分

⑤クールダウン10分

メインセット②④の20分がキツく、どうしても無理な場合は10分から開始し→15分→20分と徐々に時間を伸ばしていきましょう!

20分が余裕な方は30分に延長し、30分でも余裕な場合はFTPが上がってる可能性が高いので、FTPテストの実施をお勧めします。

また強度が高い為、必ずウォーミングアップとクールダウンはおこないましょう!

ウォーミングアップをしなかった場合、足を痛めるリスクが高ます。

クールダウンは翌日に疲労を持ち越しにくくなります。

SST、メディオトレーニングをおこなう頻度ですが週2回~3回を目標にして下さい。

「パワー・トレーニング・バイブル」の著者はSSTトレーニングについて下記引用のように述べています。効果的なトレーニングなのは間違いないでしょう。

もし練習時間のほとんどをこのレベルに集中すれば、およそ集団から脱落することはなくなるでしょう。全トレーニング・レベルの中で、このスイートスポットは、いちばん練習時間を割く価値があるゾーンです。

出典:パワー・トレーニング・バイブル [ハンター・アレン、アンドリュー・コーガン共著]

SST、メディオをおすすめする方

・テンポ走である程度の持久力とパワーのベースが出来た方

・毎日1時間程度のトレーニング時間が確保できる

・インターバルトレーニングの高強度でもやり切れるメンタルの強い方

・ヒルクライムレースで結果を出したい方

・3ヶ月程度の短期間でレベルアップを実感したい方

SST、メディオのデメリット

デメリットも少しありますので説明します。

・スプリント力の向上はあまり見込めない

・クリテリウムやエンデューロレースにはさらに高強度のインターバルトレーニングが必要

・強度が高いのでメンタルの弱い方は継続が難しい

レース等で結果残したいガチ勢で無ければSST,メディオ強度で十分なパワーアップが見込めるので、大きなデメリットでは無いと思います。

SST、メディオまとめ

SST、メディオは強度がキツいぶん、見返りの効果が大きく比較的短期間で走力と持久力が向上可能なトレーニングです。

またLSDやテンポ走ほどトレーニング時間/回が必要ではなく、1時間程度で十分なトレーニング効果が見込めます。

普段、仕事や家事・子育てで忙しい方には特におすすめのトレーニングです。

強度のキツい時間が約30分~40分ですので、「トータル1時間のトレーニングでもキツいのは半分の時間だけだ!」と自分に言い聞かせて完遂を目指しましょう。

週2日を3カ月程度継続できれば確実にレベルアップできますよ!

「SST・メディオ」はキツいという方は「CARSON」というSSTトレーニングが継続しやすくて人気なので参考にして下さい。

 

より高強度なトレーニングで鍛えたい、「SST・メディオ」に慣れてきた方は「VO2max・ソリア」にチャレンジしましょう!

他のトレーニングについて知りたい方は「トレーニングまとめ記事」を参考にして下さい。

 

今回はSST、メディオについて解説しました。

本記事が参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。