マフェトン理論はフィリップ・マフェトンが考案した、有酸素能力をメインで向上させるトレーニング方法です。
マフェトン理論(マフェトンりろん)とは、フィリップ・マフェトンが提唱する、マラソンやトライアスロンなどの持久力スポーツのトレーニング方法である。 有酸素運動(ペース走)の運動強度を明確に示したのが最大の業績といわれる。
出典:マフェトン理論_フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
速筋でしか出せないパワーを遅筋で出せるように鍛えるトレーニングです。
遅筋での範囲なので心拍数にも余裕があり、長時間運動し続けることが可能となります。
300km以上走るようなウルトラエンデュランスやアイアンマン等の超長距離レースに最適なトレーニングです。
それでは具体的な内容を見ていきましょう。
マフェトン理論の概要
マフェトン理論では
有酸素運動⇒エアロビックトレーニング
無酸素運動⇒アネロビックトレーニング
と定義しています。
マフェトン理論は考案者がフルマラソンでゴールした際に、医務室でアスリート達が苦しそうに横たわっている姿を見て、次のように疑問を感じたことから考えられたトレーニング理論です。
「競技能力の向上と健康を両立させることはできないのか」
ケガをせず健康的にエアロビック(有酸素)能力を向上し、アネロビック(無酸素)能力に匹敵する身体にするトレーニングがマフェトン理論です。
エアロビック(有酸素)は遅筋を使用するので主なエネルギー源は脂肪になります。
その為、脂肪をエネルギーに変換させる事を体に覚え込ませる必要あります。
マフェトン理論には体のエネルギー供給過程を変化させる方法も含まれています。
また脳や神経系は糖分を必要とする為、アネロビック(無酸素)で糖分を使用すると脳や神経系に必要な糖分が足りなくなり、精神的に不安定になりやすくなります。
エアロビック(有酸素)では脂肪を主に燃焼する為、血糖値が安定し、精神的に安定するようです。
トレーニング効果
トレーニング効果ですが、箇条書きでまとめます。
トレーニング方法
エアロビック(有酸素)筋肉を鍛えて活性化し、糖分ではなく、脂肪を主なエネルギーにして運動できる身体を作ります⇒エアロビック(有酸素)ベースを作る
トレーニング強度
心拍数を負荷の目安として180公式を使用します。
180から自分の年齢を差し引き、次のA~Dの項目で自分に当てはまる状況の数字を計算に加えます。
心拍計が無ければマフェトン理論のトレーニングは実施できません。
おすすめの心拍計については次の記事を参考にしてください。
自分に当てはまる状況
A:病気にかかっている(心臓病・手術)、治ったばかりや投薬中
⇒「180-年齢-10」
B:ケガをした、パフォーマンス低下中、風邪をよくひく、あるいはアレルギーあり
⇒「180-年齢-5」
C:過去2年において、あまり問題なくうまくトレーニングできている。あるいは風邪を年に1、2回程度しかひかない
⇒「180-年齢」
D:2年以上問題なく、うまくトレーニングできている。ケガもせず、パフォーマンスも向上している
⇒「180-年齢+5」
例:30歳でBに当てはまる方は「180-30-5」⇒145の心拍数
注意点として、計算した心拍数を絶対に超えないようにして下さい。
超えてしまうとアネロビック(無酸素)のエネルギー供給回路が機能し、エアロビック(有酸素)ベースを作る妨げになります。
結果、エアロビック(有酸素)ベースがいつまでも出来上がらず、思ったような効果がでません。
本気でエアロビック(有酸素)ベースを構築しようと考えている方は、週末のグループライドは期間中は参加しない事です。
1人で走ることが苦手な方はゆるポタオンリーで、チームメイトにも理由を説明して、低強度で走ってもらう工夫をしましよう。
ローラーで行う場合は重いギアではなく、軽いギアで実施しましょう。
トレーニング時間・頻度
期間中は全てのトレーニングをエアロビック(有酸素)範囲内の心拍数でおこないます。
期間は最低2カ月、通常3、4ヶ月、全く運動経験が無かった人は10ヶ月以上必要になります。
この期間は絶対にアネロビック(無酸素)トレーニングをしてはいけません。
具体的な方法を記載します。
①ウォーミングアップ15分
②エアロビック(有酸素)範囲内の心拍数でトレーニング
③クールダウン15分
かなりシンプルですね。
心拍数が上がらない範囲で②のメインの時間を増やして調整してください。
注意点としてウォーミングアップ開始すぐに②の目標心拍数まで一気に上げないでください。
15分かけて目標心拍数になるように徐々に上げましょう。
仕事や家庭で忙しい方は、空いた時間で少しでもいいのでトレーニングしてください。
ウォーミングアップ15分で目標心拍数まで上げ、すぐにクールダウン15分の合計30分でも効果は出ます。
エアロビック(有酸素)ベースが出来上がった方は、全体のトレーニング量の1割をアネロビック(無酸素)トレーニングに取り入れましょう。
エアロビック(有酸素)9割、アネロビック(無酸素)1割でトレーニングを継続すると身体能力がどんどん向上するはずです。
食事について
トレーニング直前の食事は基本的にダメです。
食べる場合は2時間前に食べるようにしましょう。
エアロビック(有酸素)ベースが出来ている状態だと、起きてから何も食べなくても1時間程度の運動は可能となります。
しかし朝食は必要なので、トレーニング後に必ず取るようにしてください。
食事のバランスは炭水化物:蛋白質:脂肪を40:30:30にすることが推奨されています。
また注意点として植物油などの不飽和脂肪を積極的にとるようにし、加熱した油やマーガリンなどの摂取は極力避けてください。
おススメする方
次のような方におススメです。
・超長距離レースを完走したい、結果を出したい
・ケガをしやすい、過去に故障で苦しんだ経験がある
・故障明け
・体をしぼりたい
・アネロビック(無酸素)トレーニングは苦しいのでしたくない
デメリット
デメリットについて解説します。
・緩い強度なので心拍数を抑える我慢強さが必要
・グループライドは心拍数の調整が難しいので参加できない
・効果が感じられるまで数カ月必要
・心拍が上がりやすいヒルクライムはルートに入れられない
まとめ
マフェトン理論は、遅筋を速筋並みに強化し、長時間運動することが可能になる素晴らしいトレーニングです。
しかし、エアロビック(有酸素)ベースを構築すには心拍数を上げすぎないトレーニングを数カ月おこなう必要があります。
目標心拍数を超えないようにトレーニングすることは、やってみればかなり難しいということが分かります。
期間中はグループライドやイベントへの参加も難しく、走るコースも心拍の上がらない平地メインとなってしまいます。
しかし、我慢してマフェトン理論トレーニングを継続できればエアロビック(有酸素)がアネロビック(無酸素)レベルまで向上し、超長距離ライドで素晴らしい結果で出せるはずです。
自分には少し厳しい条件だなと感じた方はLSDトレーニングをおススメします。
マフェトン理論を実践し、160kmに及ぶトレイルランレースで結果をだしているアスリートの方もいるようですね。
ウルトラエンデュランスレースやアイアンマンレースに参加したい方にはおススメのトレーニングです。
興味がある方はマフェトン理論のトレーニングにチャレンジしてみてください。
他のトレーニングについて知りたい方は「トレーニングまとめ記事」を参考にして下さい。
・脂肪燃焼効率が上がる
・血糖値が安定し、精神的にも安定する
・長時間運動できる
・継続した努力でエアロビック(有酸素)範囲でアネロビック(無酸素)レベルまで向上できる
・筋肉、骨格、循環器系、内分泌系などえを整える
・故障明けのトレーニングとしても有効